彩 〜ナガレテンズルモノ〜 制作話

こんにちは

 
今日も寒いですね。
昨日の雪の影響はいかがでしょうか。
私の住む地域は積もることなく、朝家々の屋根にうっすら残っている程度でした。
その雪も日の光でもう溶けました。
晴れ空ですが気温は低いので、温活しっかりしたいと思います。
皆様も温かくしてお過ごしくださいね。

 
さて、今日は第24回日本の美術〜全国選抜作家展〜の出展作品「彩 〜ナガレテンズルモノ〜」の制作話を綴りたいと思います。

 

彩2
 
この作品は私にとってチャレンジの作品。
想い入れがある作品です。

 
完成までのお話を書いてまいりますので、どうぞお付き合いくださいませ。

 
 
構 想

 
作家展のお話をいただきまして、せっかくの機会だから何かチャレンジしてみたくなりました。

 
そこで、大きいサイズのものを作ることに決めました。
この作品を作るまでは、糸を通す作業の手間や効率、厚紙(ボード)の強度のことから、大きくても30㎝の小ぶりなものを作っていました。
30㎝以内の大きさに糸で模様を織り成していくのも愉しいです。
でも、糸が行き来できる範囲が大きくなったらもっと可能性が拡がるのではないかとも思っていました。
たくさんの穴をあけるので紙の強度が気掛かりでしたが、どのくらいの穴の数なら大丈夫なのか確かめるためにも大きい作品を作ることにしました。
 
 
そして、どうせチャレンジするのなら大きさだけでなく題材も!と、欲張りに題材にもチャレンジすることに(笑)

 
大きいサイズで、今まで作ったことのない題材。
大きいサイズだからこそ活きる題材。
 
いろいろ考え迷った結果、「虹色の龍」にすることにしました。

 
龍は、以前から気になっていたのです。
作れるものなら作ってみたいと思っていたのですが、どういう風に直線で模様を出していくか、どういう風に穴をあけていくかなど研究と試作に時間をかけなければならないことが分かっていたので、なかなか手を付けられないでいました。
上野の森美術館に展示されることを考えれば、めげずに研究を重ねられるかなと思い、とうとう手を付けることにしました。
 
虹色にしたのは、私がグラデーション好きだからです。
色が変化していく様子を糸で表現していく作業はとても愉しいです。
色の重なりが上手くいかなくて直しをすることも多々あるのですが、上手くいった時の感動に敵うものはないので、これまた欲張りに虹色のグラデーションにすることにしました。

 
 
 
 
試作研究

 
まず、一番の見どころとなる龍の鱗をどうするか。
形、穴の数と配置、糸の通し方・・・ああだこうだと何度も紙に描いて考えました。
 
何パターンか考えたところで、実際に厚紙に糸を通して試作。
全体を大きくするので厚紙(ボード)もいつものより厚いものにする必要があり、厚いボードでは穴の間隔をどのくらいにすればいいのかも確かめなければなりませんでした。

 
 
鱗試作品

 
大きさと形、糸の通し方(形と通し方はパッと見分からないほどの違いですが)を変えていくつか試作しました。
そして、強度に問題のない大きさを見つけました。

 
 
鱗の研究が終わったところで、次は龍のデザイン。
私は画才がないので妹にお願いすることにしました。
くねくねうねっていたほうが龍の姿としては見栄えがあり恰好良いと思ったのですが、スーッと流れて色が転じていく感じを出したかったのでうねうねしていない龍のシルエットを描いてもらいました。

 

 
 
鱗とデザインが決まったところで、最後は頭・脚・フサフサ部分の研究です。
これはもう実際に厚紙に穴をあけ糸を通して試行錯誤していくしかないと思い、部分的に試作しました。

 

 
龍部分的試作品

これを見た妹は、眉間に皺を寄せて「部位別販売でもするの?」と言ってきました。
確かにこれだけ見たら怖いかもしれないです(笑)
 
頭の分割数や糸の通し方をどこで切り替えていけばいいかかなどたくさん発見がありました。
 
 
こんな感じで試作研究を終え、いよいよ本番です。

 
 
 
作 図

 
龍のシルエットをトレーシングペーパーに写して穴をあけるポイントに印付け

 
彩 作図

 
鱗部分は穴の数と間隔が決まっているので慎重に印を付けました。
他の部分は糸を通す作業の時にいくらでも調整できるので輪郭線だけ描きました。
(穴のポイント全部に印を付けていたら、いつ終わるか分かりませんからw)

 
 
 
 
穴あけ

 
ひたすら穴あけ

 
彩 穴あけ

 
作品自体が大きいので穴の数が多いのと、紙が厚くなった分力が必要だったので結構大変でした。
あけてもあけても終わらない・・・手が痛くなる前に休憩を入れて少しずつあけていきました。
 
 
あけ終わるとこういう感じに
彩 穴あけ完了

 
光に透かすと点描画みたいになりました。

 
 
 
 
糸通し作業

 
糸とおしのメイン、通し作業です。

 
頭からスタート
彩 糸通し1

 
 
鱗へ

彩 糸通し2

 
同じ通し方に見えるかと思うのですが、糸の重なり方やバランスを考慮して実は通し方を変えているのですよ。細かいですけど(笑)

 
 
フサフサ部分へ

彩 糸通し3

 
 
通し作業完了です。

 
 
 
 
額 装

 
額縁へ入れる前に、白と金の和紙で縁取ってすこしお洒落を
 
彩 額装1

 
黒の細い額縁へ
彩 額装2

 
 
 
 
遂に完成!

 
途中で体調を大きく崩してしまい、納期に間に合うかヒヤヒヤものでしたがなんとか完成させることができました。

 
 
100%納得の作品を作ることは未だできていないのでこうすれば良かった、もっとこうしたかったなど言い出したら色々出てきてしまいますが、チャレンジできたこと、完成できたことが嬉しかったです。
大きい作品を作ることができて、これからの制作の可能性がずいぶん拡がり、作ってみたいと思うものがたくさん浮かぶようになりました。
この虹色の龍は、沢山の収穫をもたらしてくれた作品です。

 
 
大きな美術館で開催される作家展に展示されるのはとても緊張しますが、同じくらい愉しみです。
実物を観ていただける貴重な機会ですので、ぜひ多くの皆さんにご覧いただけたら嬉しいです。

 
 
第24回日本の美術 〜全国選抜作家展〜
 
上野の森美術館

 
入場料:無料
   
10:00〜17:00
*初日は13:00開館
*最終日は12:00閉館
*最終入場はそれぞれ閉館30分前まで

 
24日本の美術

私は17・18日に会場にいます。
見かけましたらお声がけくださいね。

 
 
 
以上、《彩 〜ナガレテンズルモノ〜》の制作話でした。
お読みいただきありがとうございます。

 
 

コメントは受け付けていません。